「立冬」の柿くるみぱん【シリーズ:二十四節気を楽しむぱん】

「立冬」の柿くるみぱん【シリーズ:二十四節気を楽しむぱん】

二十四節気を楽しむ 一膳の手まるめぱん

1年を太陽の動きに合わせて24の期間に分け、季節を表した「二十四節気」。太陰太陽暦(旧暦)では季節を表すために用いられていました。
「じゃぱん」では二十四節気(にじゅうしせっき)を区切りとし、その時期に旬を迎える食材を使った「手まるめぱん」を連載でお届けします。
シンプルなレシピでつくる、手のひらサイズの手まるめぱん。日本の四季を感じる日本ならではのパンを、気軽に楽しみませんか?

「立冬」11月7日ごろ

「立冬」は11月7日ごろ、二十四節気の第19節、「小雪」までの期間のことで「霜降」から数えて15日目ごろにあたります。「立」には新しい季節になるという意味があり、立春、立夏、立秋、立冬の四つは季節の大きな節目です。

「立夏」から数えてちょうど半年、朝晩ぐっと冷えこみ、日中の陽射しも弱まって、冬が近いことを感じさせるころ。木枯らしや初雪の便りも届き始め、立冬を過ぎると自然界は冬の佇まいへと変わります。この日から立春の前日までが冬とされます。

渋柿と甘柿、ほんとうに甘いのはどっち?

24japanese-season-kaki-kurumi-bread-2 美しい色に熟して、初冬に食べごろを迎える柿の食感と甘みは日本を代表する味です。柿は意外にビタミンCがたっぷり入っていて「柿が赤くなれば、医者が青くなる」と言われることもあります。

東アジア原産の果樹で、日本では栽培せずとも庭木としてあちこちで見かけます。熟した果実は食用とされ、果実を発酵させた柿酢も農家などでは作っているところもあります。葉は茶の代わりとして加工され飲まれています。青い果実はタンニンを多く含み、柿渋は古来より防腐剤として用いられ、幹は材木として利用されます。捨てるところのない、さまざまに日本の暮らしの中に根付いた果樹の代表といえますね。

柿はもともとはすべて「渋柿」で、「甘柿」は渋柿の突然変異として発生したと考えられていますが、現在ではそれぞれの品種が栽培されていて、地方ごとに特徴ある柿が店頭や食卓を賑わせてくれています。「渋柿」の代表品種は平核無柿や市田柿で、炭酸ガスやアルコールで渋抜きされてから出荷されます。「甘柿」の代表品種は富有柿、次郎柿、熟しても場合によって渋が残ることがある「不完全甘柿」は筆柿が有名です。

柿の産地では「甘渋判定機」というものがあって、強い光をあてて完全に透過するものは渋柿、黒いゴマ状の点が見えたり不透過であれば甘柿と判定するので、間違って渋柿が出荷されることはほとんどないそうです。庭木などで渋柿を収穫した時は、ヘタを35度以上の焼酎などにつけてからポリ袋に入れて1週間くらいおくと家庭でも渋抜きができます。

渋抜きをした渋柿と甘柿では渋柿の方が一般に糖度は高いのだそうで、干し柿にする柿はすべて渋柿なのです。

「立冬」の柿くるみぱんのつくりかた

今回は、いつものパン生地に完熟柿とくるみを加えてぱんを作ってみます。柿の水分で生地をまとめますが、柿の種類や熟度によって水分が違うので、様子を見ながら作ってみてくださいね。

シンプルで簡単!手のひらサイズのパンは1カップの小麦粉で。

ふつう手ごねでもホームベーカリーでも、1斤の食パンを焼くには300g前後の小麦粉を使います。でも一人暮らしではちょっと多いし、発酵にも時間がかかりそう…と思う方、1カップ=100gの小麦粉で小さな「手まるめぱん」を作ってみませんか?材料と作り方はとてもシンプルです。

<材料>3個分

  • パン用小麦粉(強力粉)1カップ(100g)
  • 塩 小さじ1/4
  • 砂糖 小さじ1
  • 白神こだま酵母 小さじ1/2
  • 酵母を溶かす水 小さじ1(35℃にする)
  • 柿 60g(小1/2個程度)
  • くるみ 10g
  • 水 少々

※お使いになる小麦粉によって水分量が変わります。詳しくは小麦粉の商品説明書にてご確認の上、当レシピをご参照ください。

<作り方>

    1. 白神こだま酵母は、35℃くらいのぬるま湯小さじ1に浸して5分ほどおく。完熟柿は皮をむいて、フードプロセッサーかすり鉢でペーストにしておく。くるみは炒って刻んでおく。
    2. 小麦粉に塩と砂糖を混ぜておく。【1】の酵母をあわせて、柿も加え、生地がなじんだら耳たぶくらいの固さになるよう手のひらで温めながら捏ねていく。生地が固かったら水少々を足す(しばらくこねてもベタつくほど水分が多かったら少し小麦粉を足す)。生地がなめらかになったらくるみを加える。
    3. 乾燥しないように大きめのボウルなどに入れて30℃前後に保温し、大きさが2.5倍、指でおして生地が戻ってこなくなるまで発酵させる。
    4. 生地のガスを抜くように軽く丸め15分ほど休ませる。3等分して丸く形を整えたら、とじ目を下にして天板に並べ、暖かいところで30分~1時間ほど発酵させる。ハサミでヘタの部分に切込みを入れてもよい。
    5. 霧吹きで水をかけ、やや低めの温度170~180℃のオーブンで15~20分くらい焼く。24japanese-season-kaki-kurumi-bread-3

おわりに

24japanese-season-kaki-kurumi-bread-4柿くるみぱんの作り方はいかがだったでしょうか。そのまま食べるには熟しすぎてしまった柿がおいしいパンに変身します。柿1個を使いたい時はその他の材料を2倍にして作ってもよいですね。中に餡などくるんでもおいしいです。