「小雪」のさつまいもぱん【シリーズ:二十四節気を楽しむぱん】

「小雪」のさつまいもぱん【シリーズ:二十四節気を楽しむぱん】

二十四節気を楽しむ 一膳の手まるめぱん

1年を太陽の動きに合わせて24の期間に分け、季節を表した「二十四節気」。太陰太陽暦(旧暦)では季節を表すために用いられていました。
「じゃぱん」では二十四節気(にじゅうしせっき)を区切りとし、その時期に旬を迎える食材を使った「手まるめぱん」を連載でお届けします。
シンプルなレシピでつくる、手のひらサイズの手まるめぱん。日本の四季を感じる日本ならではのパンを、気軽に楽しみませんか?

「小雪」11月22日ごろ

「小雪」は11月22日ごろ、二十四節気の第20節、「大雪」までの期間のことで「立冬」から数えて15日目ごろにあたります。北の地方では雪の便りが届く頃ですが、まだ本格的な冬の訪れではありません。雪がふってもまだ多くはないことから「小雪」といわれたのだそうです。陽射しが弱くなり、紅葉が散り始め、いちょうや柑橘類は黄色く色づいてきます。次第に冷え込みが厳しくなってきますので、コタツを出したり冬の備えをする時期です。

秋の味覚、でも寒さに弱いさつまいも

24japanese-season-satsumaimo-bread-2 さつまいもは中南米原産の芋で、繁殖能力が高く痩せた土地でも育つため、江戸時代ごろから飢饉対策として広く栽培されてきました。肥料もほとんどいらないため、家庭菜園でも栽培しやすい作物です。

春に数枚の葉が付いたツルを土に挿すという変わった方法で植え、秋に太って芋になったところを収穫します。「薩摩芋」と言うだけあって鹿児島県で全国の生産量の4割弱を生産しています。これには芋焼酎やでんぷんの原料として生産される量も含まれています。いろいろな品種があり、最近では種子島の「安納芋」など甘みの強い品種が注目されていますね。

さつまいもは60℃程度で長時間加熱するとデンプンを糖化する酵素が働いて甘味が増すので、石焼き芋は甘味を最大限引き出す調理法ですね。家庭でも蒸し器やオーブンでゆっくり加熱するのがおいしい食べ方のコツです。

また、さつまいもはもともと中南米の植物で温かい気候を好むので、冷蔵庫では早く傷んでしまいます。付いている土はそのままで、掘ってきた芋は新聞紙の上に並べて3、4日乾燥させ、一本ずつ新聞紙に包みます。そして段ボールや紙袋など通気性のよい入れ物に入れ、気温の変化が少なくて暗い、室内の廊下や床下収納などの場所に保存します。温度は15℃前後、また湿度も適度に必要で80%くらいがちょうどよいようです。掘りたてより少しおいて熟成したほうが甘みが増しておいしくなります。

「小雪」のさつまいもぱんのつくりかた

今回は、いつものパン生地にさつまいもとはちみつバターを加えて菓子ぱん風に作ってみます。さつまいもは蒸し器やオーブンでゆっくり加熱するとおいしいです。

シンプルで簡単!手のひらサイズのパンは1カップの小麦粉で。

ふつう手ごねでもホームベーカリーでも、1斤の食パンを焼くには300g前後の小麦粉を使います。でも一人暮らしではちょっと多いし、発酵にも時間がかかりそう…と思う方、1カップ=100gの小麦粉で小さな「手まるめぱん」を作ってみませんか?材料と作り方はとてもシンプルです。

<材料>3個分

  • パン用小麦粉(強力粉)1カップ(100g)
  • 塩 小さじ1/4
  • 砂糖 小さじ1
  • 白神こだま酵母 小さじ1/2
  • 酵母を溶かす水 小さじ1(35℃にする)
  • 生地に加える水 55cc前後(30~35℃にする)
  • さつまいも 30g(小1/2個程度)
  • バター 大さじ1
  • はちみつ 大さじ1

※お使いになる小麦粉によって水分量が変わります。詳しくは小麦粉の商品説明書にてご確認の上、当レシピをご参照ください。

<作り方>

    1. 白神こだま酵母は、35℃くらいのぬるま湯小さじ1に浸して5分ほどおく。さつまいもは7mm角くらいのサイコロ状に切って、蒸すかアルミホイルにくるんでオーブンで焼くなどして火を通しておく(急ぎの時は電子レンジでも)。バターは室温で柔らかくしてはちみつとよく混ぜておく。
    2. 小麦粉に塩と砂糖を混ぜておく。【1】の酵母をあわせて、生地がなじんだら耳たぶくらいの固さになるよう手のひらで温めながら捏ねていく。
    3. 乾燥しないように大きめのボウルなどに入れて30℃前後に保温し、大きさが2.5倍、指でおして生地が戻ってこなくなるまで発酵させる。
    4. 生地のガスを抜くように軽く丸め15分ほど休ませる。平たく20cm×15cmくらいの長方形に伸ばしたら、端を3cmくらい残してはちみつバターを塗り、さつまいもをちらす。
    5. くるくると巻いて端をしっかりとじたら3等分に切り、横向きに置いて平たくし、暖かいところで30分~1時間ほど発酵させる。
    6. 霧吹きで水をかけ、180~190℃のオーブンで15~20分くらい焼く。
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おわりに

さつまいもぱんの作り方はいかがだったでしょうか。いつもの生地にバターとはちみつがしみ込んでおいしい菓子パン風になりましたね。さつまいものかわりにかぼちゃやりんごでもおいしくできます。さつまいものおいしい季節にぜひ試してみてくださいね!
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