【ぱんと郷土料理と】かんぴょうの卵とじ(栃木)
ぱんと郷土料理と
「どこの生まれですか」そんな問いのむこうに思い浮かぶもの、それは日本各地の食卓。情報網や物流が発達して、各地の食べものを知り、取り寄せることがかんたんにできるようになった今でも、まだまだ知られていない郷土料理があります。その土地ならではの食材を、そこに伝わる知恵と工夫で調理した、懐かしい香りのする料理の数々。ここでは、そんな郷土料理をパンと一緒に味わう旅をしてみましょう。意外な組み合わせとおいしさに出会えるかもしれません。
今回ご紹介するのは「かんぴょうの卵とじ」。かんぴょう(干瓢)といえば栃木県が産地で、実に全国生産量の98%以上を占めています。真夏に収穫した夕顔を薄く削って干してできたものですが、他の土地で生のかんぴょうを見かけることはまずないでしょう。夕顔の大きさはスイカほどもありますが、同じくウリ科のひょうたん(瓢箪)が分化したものだと言われており、生では苦くてとても食べられません。薄く削って干すことで、苦みが減って旨みが増し、おいしい味わいになります。誰が最初に発見をしたのか、不思議ですね。カルシウム、カリウム、リン、鉄分、食物繊維などが豊富な和食に欠かせない食材です。
かんぴょうをおいしく食べるコツは、しっかり戻すこと。乾物は戻す作業がめんどうに感じられるかもしれませんが、時間がある時は前日から水に漬けておく、時間がないときは熱湯に漬けるなど、慣れればそれほど手間ではありませんし、冷蔵庫がいらない伝統的な保存食は、防災食としても常備しておけるものです。
ちなみに、かんぴょうは「無漂白」のものを選びましょう。漂白していないかんぴょうはもともと薄茶色で、時間がたつと濃い飴色に変わっていきますが、味には全く問題ありません。燻蒸して漂白したかんぴょうは色は白く保てるものの、どうしても食感が固くなってしまい、柔らかく煮えないということで、今でも無漂白のかんぴょうが作り続けられています。
和風の料理に限らず、洋風などのアレンジもできるので、自由に発想してみると楽しいですよ(写真はかんぴょうのトマト煮です)。
レシピ「かんぴょうの卵とじ」
海苔巻きの具としてイメージする他にあまり料理法の思い浮かばないかんぴょうですが、実はいろいろな使い方ができます。卵とじは栃木県の郷土料理ですが、洋風にトマトと煮込んだり、炒め物や和え物に加えたり。たっぷり戻してさまざまに味わってみてください。
<材料>2人分
かんぴょう 10g(戻して100g)
卵 2個
だし汁 200cc
うすくちしょうゆ 大さじ1
みりん 大さじ1
塩 少々
小ネギ・三つ葉 少々
<作り方>
①かんぴょうは塩少々(分量外)で揉んで、たっぷりの水をはった鍋に入れて火にかける。沸騰したら8~10分ほど、柔らかく透き通るまで茹でて、水に放って冷ます。平らに開いて食べやすい大きさに切る。
②分量のだし汁に①のかんぴょう、うすくちしょうゆ、みりん、塩を入れて弱火にかけ、味を含ませる。
③溶き卵を②の鍋に加え、へらで2~3回大きくかきまぜてできあがり。器に盛って小ネギや三つ葉を飾る。
※かんぴょうは茹でた後、よく水気を切って冷凍しておいても便利です。
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