食パンの種類と、イギリス・フランスなど海外と日本の食パンの違い

食パンの種類と、イギリス・フランスなど海外と日本の食パンの違い

私達の食卓にすっかり定着している食パン。一見どれも同じに見えますが、実は食パンにさまざまな種類があることをご存じですか?

今回は、食パンの種類と、イギリス・フランスなど海外の食パンと日本の食パンの違いをご紹介します。

食パンにはどのような種類がある?

食パンとは「長方形の型に入れて焼き上げた」パンのことを指します。好みの厚さにスライスして、トーストやサンドイッチにして食べるのが一般的です。

食パンは、形や製法によっていくつかの種類に分けられます。

【1】形
・ラウンドトップ…山型食パンのことです。イギリスパンがこれにあたります。
・プルマンブレッド…角型食パンのことです。いわゆる日本の食パンです。
・ワンローフ…2~3個の山があるイギリスパンに対し、山が1つだけの食パンです。

【2】 製法
・直捏法(じかごねほう)…1度に全材料をこねる製法。発酵時間が短く風味が良くなる製法ですが、環境などの条件に左右されやすいというデメリットがあります。
・中種法(なかだねほう)…材料の70%ほどを混ぜた「中種」を発酵させた後、残りの材料を加えて生地を作る製法です。安定して製造しやすく、大量生産に向いています。
・液種法(えきだねほう)…酵母、砂糖、水を混ぜ合わせた液体に小麦粉を加えてこねる製法です。
・ノータイム法…ミキサーでこねた生地をほとんど発酵させないまま用いる製法です。軽い風味・食感のパンになります。
・老麺法(ろうめんほう)…酵母の代わりに一晩置いた生地を加える方法。風味の豊かなパンになります。

ヨーロッパの食パンの種類

【1】イギリスの食パン
イギリスの食パンである「イギリスパン」は、日本の食パンのモデルとなったパンです。イギリスパンは型にフタをせずに焼き上げるため、上部が盛り上がった形になります。カリッとトーストしてバターやマーマレードをつけたり、ベーコンやマッシュルームなどを載せてサンドイッチにしたりする食べ方が一般的です。

【2】フランスの食パン
フランスの食パンは「パン・ド・ミ」と呼ばれます。バゲットに代表されるように、フランスのパンには皮を楽しむものが多いのですが、パン・ド・ミは中身、つまり「ミ(Mie)」を味わうパンです。日本の食パンのように四角く焼くこともあれば、フタを外して山形パンにすることもあります。

【3】ドイツの食パン
ドイツは古くから小麦の収穫が難しい土地であったため、パン作りには主にライ麦が利用されてきました。現在では小麦で作られた白いパンもありますが、ライ麦で作られたいわゆる「黒パン」も健在です。黒パンのみっしりと詰まった中身や酸味は、ふんわりと柔らかく甘みのある日本のパンとはひと味違います。

ヨーロッパの食事は昔からしっかりと食べ応えのある肉類が中心であったため、パンも歯ごたえのあるものが好まれたようです。また、パンを主食とする国や地域が多かったことから、食パンも甘さを控えたシンプルな味のものが多いことが考えられます。

日本の食パン

日本の食パンの多くは、四方が閉じた箱状の型に入れて焼き上げため、出来上がりも四角くなります。海外の食パンに比べるととても柔らかく、ふんわりとした食感が特徴的です。また、牛乳やバター、ショートニングなどの油脂類によって風味がつけられていることも、日本のパンの特徴といえるでしょう。

日本にはもともと主食として米があり、パンは主食というよりお菓子や総菜のような感覚で食べられてきました。そのため、単体で食べても味や風味が感じられるような食パンが求められたのではないでしょうか。

おわりに

今回ご紹介した通り、食パンは世界各地の気候や作物、そして人々の好みに合わせたものが作られてきました。食パンからは各国の風土や特色が感じられます。

各地の食パンを食べながら、パンが生まれた国の伝統や成り立ちに思いをはせてみるのも楽しいかもしれませんね。