「秋分」の紅玉じゃむぱん【シリーズ:二十四節気を楽しむぱん】

「秋分」の紅玉じゃむぱん【シリーズ:二十四節気を楽しむぱん】

二十四節気を楽しむ 一膳の手まるめぱん

1年を太陽の動きに合わせて24の期間に分け、季節を表した「二十四節気」。太陰太陽暦(旧暦)では季節を表すために用いられていました。
「じゃぱん」では二十四節気(にじゅうしせっき)を区切りとし、その時期に旬を迎える食材を使った「手まるめぱん」を連載でお届けします。
シンプルなレシピでつくる、手のひらサイズの手まるめぱん。日本の四季を感じる日本ならではのパンを、気軽に楽しみませんか?

「秋分」9月22日ごろ

二十四節気の第16節にあたり、9月22日ごろ、および「寒露」までの期間をさします。「秋分」は太陽の角度がちょうど黄径180度(秋分点)になった瞬間のことで、その瞬間がある日のことを「秋分の日」と呼びます。春分と同じく太陽が真東から昇って真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ同じになります。

春分・秋分の3日前から7日間をそれぞれ春の彼岸、秋の彼岸と言い、春分・秋分は「彼岸の中日」にあたります。仏教では、生死の海を渡って到達する悟りの世界を「彼岸」といい、その反対側の迷いや煩悩に満ちた世界を「此岸(しがん)」といいます。彼岸は西に、此岸は東にあるとされており、太陽が真東から昇って真西に沈む秋分と春分は、彼岸と此岸がもっとも通じやすくなると考え、先祖供養をするようになりました。

「暑さ寒さも彼岸まで」と言われ、秋はこの日を境に寒さが増してきます。「秋の日はつるべ落とし」と言われるように、これから冬至に向かって日暮れはどんどん早くなっていきます。

アメリカ生まれの「紅玉」

りんごと人類の歴史は古く、トルコで紀元前6000年の炭化したりんごが発見されており、紀元前1300年のエジプトには果樹園があったことがわかっています。日本にはもともと中国から伝わった「和りんご」と言われるりんごがありましたが、直径3~4cmと小さくあまり味もよくなかったため主として仏事に使われていました。明治に入ってアメリカから「西洋りんご」と言われるりんご75品種と栽培技術が導入され、寒冷地でも育つ作物として改良されながら、日本独自のおいしい品種が作られていきました。

ところで、独特の酸味と美しい色で人気の「紅玉」、スイーツやジャム作りに欠かせない品種として旬を待ちわびている方が少なくありません。「紅玉」という和名で知られていますが、実は英語名は「ジョナサン」、アメリカから最初に導入された当時のままの古い品種です。「ジョナゴールド」という品種は「紅玉」と「ゴールデンデリシャス」のかけあわせですが、なるほど「紅玉」=「ジョナサン」だから「ジョナゴールド」となるわけですね。ファンの多い紅玉ですが、新しい品種が次々育成されているため、実は栽培面積は減っていて少しずつ貴重品になりつつあるようです。
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紅玉りんごジャムの作り方

年に一度しか作れない紅玉りんごジャム。皮を加えて煮ることで、ほんのりピンク色に仕上がります。

<材料>

  • 紅玉りんご 1個(約150g)
  • 砂糖 50g(りんごの30%くらい)
  • 塩 ひとつまみ

<作り方>

  1. 紅玉は長く皮をむいて4つ割りにし、うすい塩水(分量外)にくぐらせ、5mmくらいのいちょう切りにする。皮は後で色付けに使うのでとっておく。
  2. 紅玉、砂糖、塩を混ぜて30分ほどおく。水分が出てきたら、水大さじ2くらいを加えて中弱火にかける。
  3. 紅玉の水分が十分に出てきたら真ん中に皮を丸めて入れ、弱火にして30分ほど煮込む。全体がピンク色になったら、皮を取り出す。皮も刻んで食べられます。

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「秋分」の紅玉じゃむぱんのつくりかた

今回は、いつものパン生地に手作りジャムを包んだジャムぱんを作ってみます。かわいらしくりんごの形に整えていますが、丸く包むだけでも十分おいしいです。

シンプルで簡単!手のひらサイズのパンは1カップの小麦粉で。

ふつう手ごねでもホームベーカリーでも、1斤の食パンを焼くには300g前後の小麦粉を使います。でも一人暮らしではちょっと多いし、発酵にも時間がかかりそう…と思う方、1カップ=100gの小麦粉で小さな「手まるめぱん」を作ってみませんか?材料と作り方はとてもシンプルです。

<材料>3個分

  • パン用小麦粉(強力粉)1カップ(100g)
  • 塩 小さじ1/4
  • 砂糖 小さじ1
  • 白神こだま酵母 小さじ1/2
  • 酵母を溶かす水 小さじ1(35℃にする)
  • 生地に加える水 55cc前後(30~35℃にする)
  • 紅玉ジャム  適量
  • プレッツエル 3本
  • かぼちゃの種 3個

※お使いになる小麦粉によって水分量が変わります。詳しくは小麦粉の商品説明書にてご確認の上、当レシピをご参照ください。

<作り方>

    1. 白神こだま酵母は、35℃くらいのぬるま湯小さじ1に浸して5分ほどおく。
    2. 小麦粉に塩と砂糖を混ぜておく。【1】の酵母をあわせて、生地の様子を見ながら水を加え、生地がなじんだら耳たぶくらいの固さになるよう手のひらで温めながら捏ねていく。
    3. 乾燥しないように大きめのボウルなどに入れて30℃前後に保温し、大きさが2.5倍、指でおして生地が戻ってこなくなるまで発酵させる。
    4. 生地のガスを抜くように軽く丸め15分ほど休ませる。3等分して平たく伸ばし、適量の紅玉ジャムを包んで丸く形を整え、とじ目を下にして天板に並べ、暖かいところで30分ほど発酵させる。
    5. てっぺんにプレッツエルを差し、かぼちゃの種を葉っぱに見立ててて飾る。霧吹きで水分をかけて、180~190℃に予熱したオーブンで10~15分焼く。

おわりに

紅玉じゃむぱんの作り方はいかがだったでしょうか?市販のジャムを使ってもジャムパンはできますが、皮の色でりんごを染めるきれいなジャム、きれいでおいしいのでこのジャムだけでもぜひ作ってみてくださいね!
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