バゲットをビニール袋に入れるのは日本のパン屋だけ?日本と世界のパン文化

バゲットをビニール袋に入れるのは日本のパン屋だけ?日本と世界のパン文化

日本のパン屋さんでバゲットを買う際、大抵はビニール袋に入れてもらえると思いますが、実は日本独自の習慣だというのをご存じでしょうか。バゲットの本場であるフランスでは紙袋に包んでもらうのが一般的で、その後は常温で保存します。

その他、欧米でもフランスと同じように紙袋を使うのが当たり前となっています。同じパンなのになぜ包装の仕方が違うのでしょうか?ここでは、日本と海外のパン文化の違いについてご紹介します。

パン屋さんでもらえるビニール袋が果たす役割とは

パン屋さんのバゲットをビニール袋で包むメリットとして一番大きいものは、「丈夫さ」です。例えばバゲットを家まで持って帰る際、紙袋だと何かの拍子に破れてしまうこともある上、水にも弱いため雨が降ったときに紙がふやけてすぐにもろくなってしまいます。

その点、ビニール袋は水に強く密閉性も紙袋よりあるため、パンの鮮度を落とさずに安全に持って帰るのであれば、ビニール袋の方が適しているのです。食べきれなかった分を保存する際も、ビニール袋ならホコリが入りにくく破れることもほとんどないため、入れたまま置いておくことができます。

ちなみに、冷蔵庫でパンを保存するとカビが付着して劣化が早く進んでしまうため、バゲットは室内か冷凍庫で保存しましょう。なお、常温では2日以内がおいしく食べられる期限だとされています。ビニール袋があったとしても安心しきってしまわないようご注意ください。

バゲットはビニール袋ではなく紙袋が適している?

前述でビニール袋のメリットについて説明をしましたが、パン屋さんのバゲットをよりおいしく食べるためには、実は紙袋の方が適しているとされています。

そもそもバゲットは、外側の皮の部分が固くパリッとしていることが大きな特徴。このパリパリを味わうことがバゲットを食す醍醐味ともいえます。しかしビニール袋でバゲットを包んでしまうと、逃げ場がなくなったパンの水分で、パン全体がふやけてしまいます。

そのため、外側の皮が固い新鮮なバゲットをキープしたいのであれば、紙袋に入れた方がベターと考えられているのです。バゲットの本場フランスでは、バゲットの真ん中部分だけに紙が巻かれていたり、何にも包まずそのまま持ち運んだりすることもあります。

環境の違いがパン文化の違いを生む

それでは、なぜ日本では紙袋ではなくビニール袋で包装されるようになったのでしょうか。その理由は日本独自の気候と環境にあります。

日本はフランスと違い、平均気温や湿度が高いため雑菌が繁殖しやすい環境です。つまり、日本で食材を無防備で保存することは衛生的に決して良いとはいえません。そのため、日本でパンをビニール袋で包装するようになったのは、衛生面での対策からきているとされています。

同じパンでも包装の仕方が異なるのは、住んでいる地域の気候や衛生環境に対する意識の差によるところが大きいといえそうです。安全に衛生的に保存できる点がビニール袋のメリットであり、パン本来のおいしさを味わえることが紙袋のメリットであるといえます。

しかし、どちらが良い悪いというよりは、その日のうちに食べるならば紙袋を、そして残った分を保存するときにはビニール袋を使うなど、バゲットを食べるタイミングによってうまく組み合わせることが大切なのではないでしょうか。

おわりに

日本ではパン屋さんでバゲットをビニール袋に入れるのに対し、主にヨーロッパでは紙袋を一部使うか全く使わないことがあります。その違いは気候や環境の差にあったのですね。

文化に違いがあるからこそ、お互いの良い面や悪い面が見えてきます。国の違い、包装の違いはあまり気にせずに、日本で食べられるおいしいパンを楽しみましょう。