「冬至」の柚子釜ぱん【シリーズ:二十四節気を楽しむぱん】

「冬至」の柚子釜ぱん【シリーズ:二十四節気を楽しむぱん】

二十四節気を楽しむ 一膳の手まるめぱん

1年を太陽の動きに合わせて24の期間に分け、季節を表した「二十四節気」。太陰太陽暦(旧暦)では季節を表すために用いられていました。
「じゃぱん」では二十四節気(にじゅうしせっき)を区切りとし、その時期に旬を迎える食材を使った「手まるめぱん」を連載でお届けします。
シンプルなレシピでつくる、手のひらサイズの手まるめぱん。日本の四季を感じる日本ならではのパンを、気軽に楽しみませんか?

「冬至」12月21日ごろ

「冬至」は12月21日ごろ、二十四節気の第22節、「小寒」までの期間のことで「大雪」から数えて15日目ごろにあたります。1年の間で太陽が最も低くなり、日の出から日没までの時間が短く、そして夜が最も長くなる日になります。このころになると日照時間が短くなり、日が暮れるのが早くてびっくりすることも。冬至を境にだんだんと昼間の時間が長くなり明るさは戻ってきますが、1月下旬の「大寒」にむかってさらに本格的な寒さがやってきます。

日本の冬の味「香酸柑橘」


全国区の柚子(ユズ)、徳島の酢橘(スダチ)、大分の香母酢(カボス)、広島の橙(ダイダイ)、沖縄の平実檸檬(ヒラミレモン=シークァーサー)などは「香酸柑橘(コウサンカンキツ)」または「香橘類(コウキツルイ)」と言われ、一般的なみかん類とは違って酸味が強く、生食にむかない柑橘類、鍋物や和食に香りと彩りを添える大切な果実です。それぞれの地方の郷土料理も欠かせない存在で、庭木として生えていることも少なくありません。

香酸柑橘にはクエン酸が多く含まれているため、疲労回復や食欲増進に効果があります。ビタミンCが多いので風邪予防や美容効果にもよいとされますが、酸味が強くたくさん食べることは難しいため、みかんなどに比べるとあまり期待はできないでしょう。丸ごと食べるきんかんだけはビタミンB1や食物繊維、果物の中ではスダチに次いでカルシウムも多く含まれていてさまざまな健康効果に期待できると言われています。

「柚子湯に入ると風邪をひかない」ということで冬至の時期に柚子湯に入るようになったのは江戸時代のころだとか。「湯治」と「冬至」をひっかけたという説もありますが、寒い季節に、柚子の香りに包まれてゆっくりと風呂につかるのは幸せなひと時ですね。

「冬至」の柚子釜ぱんのつくりかた

今回は、いつものパン生地に砂糖ではなくはちみつを加え、柚子釜に入れた蒸しぱんを作ってみます。ほんのり柚子の香りが移ったおいしい蒸しぱんです。

シンプルで簡単!手のひらサイズのパンは1カップの小麦粉で。

ふつう手ごねでもホームベーカリーでも、1斤の食パンを焼くには300g前後の小麦粉を使います。でも一人暮らしではちょっと多いし、発酵にも時間がかかりそう…と思う方、1カップ=100gの小麦粉で小さな「手まるめぱん」を作ってみませんか?材料と作り方はとてもシンプルです。

<材料>3~4個分

  • パン用小麦粉(強力粉)1カップ(100g)
  • 塩 小さじ1/4
  • はちみつ 小さじ2
  • 白神こだま酵母 小さじ1/2
  • 酵母を溶かす水 小さじ1(35℃にする)
  • 生地に加える水 50cc前後(30~35℃にする)
  • 柚子などの柑橘類 3~4個

※お使いになる小麦粉によって水分量が変わります。詳しくは小麦粉の商品説明書にてご確認の上、当レシピをご参照ください。

<作り方>

    1. 白神こだま酵母は、35℃くらいのぬるま湯小さじ1に浸して5分ほどおく。柚子(みかん・スダチなど)はフタになる部分をカットして中身をくりぬいておく。
    2. 小麦粉に塩を混ぜておく。ぬるま湯にはちみつを溶かして混ぜ、【1】の酵母をあわせて、生地がなじんだら耳たぶくらいの固さになるよう手のひらで温めながら捏ねていく。
    3. 乾燥しないように大きめのボウルなどに入れて30℃前後に保温し、大きさが2.5倍、指でおして生地が戻ってこなくなるまで発酵させる。
    4. 柚子釜の高さの半分くらいの量になるように分割して生地のガスを抜くように軽く丸め15分ほど休ませる。
    5. 柚子釜に生地を丸めて入れ、30分~1時間ほど発酵させる。
    6. 蒸気の上がった蒸篭で15分ほど蒸す。

おわりに

柚子釜ぱんの作り方はいかがだったでしょうか。はちみつで甘みを加えた生地はほんのり甘く柔らかくておいしいですね。くりぬいた中身は果汁をしぼって、はちみつとあわせてお湯で溶き、ホットドリンクにどうぞ。
左からみかん・柚子・スダチ