「立秋」のトマトぱん【シリーズ:二十四節気を楽しむぱん】

「立秋」のトマトぱん【シリーズ:二十四節気を楽しむぱん】

二十四節気を楽しむ 一膳の手まるめぱん

1年を太陽の動きに合わせて24の期間に分け、季節を表した「二十四節気」。太陰太陽暦(旧暦)では季節を表すために用いられていました。
「じゃぱん」では二十四節気(にじゅうしせっき)を区切りとし、その時期に旬を迎える食材を使った「手まるめぱん」を連載でお届けします。
シンプルなレシピでつくる、手のひらサイズの手まるめぱん。日本の四季を感じる日本ならではのパンを、気軽に楽しみませんか?

「立秋」8月7日ごろ

「立秋」は8月7日ごろ、および「処暑」までの期間のことで「大暑」から数えて15日目ごろにあたります。

立春からちょうど半年、この日が暑さの頂点で、立冬の前日までが暦の上では秋になります。月遅れ盆を前に各地で夏祭りが開催されます。気温は高くまだ夏を楽しむ頃ですが、野山をよく観察してみると秋の気配を感じることができます。夏の植物は勢いが弱くなり、トンボが飛んだり、夏の風と秋の涼しい風が交互に吹き、空には秋の雲も。この日を境に「暑中見舞い」は「残暑見舞い」になります。

ちなみに気象庁では、過去の天候と1週間先までの見通しから梅雨入りと梅雨明けを発表していますが、長梅雨で立秋までに梅雨が明けない場合「梅雨明け宣言」はされない、というきまりがあるそうです。

トマトがいちばんおいしい季節は?

24japanese-season-tomato-bread-2
最近はほぼ一年中食べることができるトマト。トマトの栽培時期は大きく二つに分けられ、ハウス栽培が中心の冬春トマトと露地栽培が中心の夏秋トマトがあります。冬春トマトは甘みが強く味が濃い、夏秋トマトはジューシーなのが特徴で、中でも特に量が豊富な時期が6~9月ごろです。

トマトは夏の作物だと思われていますが、それは露地でどんどん生る「量的な旬」だからです。けれども、梅雨の水分をたっぷりと吸って、長い時間強い日差しを浴び暑さにさらされると、果実は味わいが薄まり肥大します。水気たっぷり、あっさりした味わいのトマトが夏のトマトの味で、それは夏の身体が求める水分の多い野菜になります。

それに対して冬のトマトは日照時間が短くなり、乾燥気味になり、気温も低くなるため、ゆっくりと育つようになります。すると糖度もアミノ酸も蓄積されていくので、味の濃いトマトになるのです。その代わり、夏と比べると小玉傾向で皮もすこし固め、締まった果肉のトマトになります。ただし、ハウス内で時期によってはボイラーで加温して栽培するので、エネルギーを消費して育てた野菜ということになります。冬春のトマトは「味の旬」であり、贅沢品なのです。

そうやって考えると、生食でじっくり味わうには冬春トマト、料理やトマトジュースなどにしてたっぷり味わうには夏秋トマトが適しているのかもしれません。近年ではミニトマトや糖度が高いフルーツトマトなど非常に多くの品種が見られ、それぞれに旬も少し違うので、楽しみ方も多様になっています。

「立秋」のトマトぱんのつくりかた

今回は、いつものパン生地に完熟トマトを加えてぱんを作ってみます。色が美しくトマトの風味がふんわりただようおいしいパンです。水は一滴も使わず、トマトの水分だけで生地をまとめます。トマトによって水分が違うので、一度に全部のトマトを入れてしまわずに、様子を見ながら作ってみてくださいね。

シンプルで簡単!手のひらサイズのパンは1カップの小麦粉で。

ふつう手ごねでもホームベーカリーでも、1斤の食パンを焼くには300g前後の小麦粉を使います。でも一人暮らしではちょっと多いし、発酵にも時間がかかりそう…と思う方、1カップ=100gの小麦粉で小さな「手まるめぱん」を作ってみませんか?材料と作り方はとてもシンプルです。

<材料>3個分

  • パン用小麦粉(強力粉)1カップ(100g)
  • 塩 小さじ1/4
  • 砂糖 小さじ1
  • 白神こだま酵母 小さじ1/2
  • 酵母を溶かす水 小さじ1(35℃にする)
  • 完熟トマト 60g(小1/2個程度)
  • オリーブオイル 小さじ1
  • オレガノまたはバジル(乾燥) 少々

※お使いになる小麦粉によって水分量が変わります。詳しくは小麦粉の商品説明書にてご確認の上、当レシピをご参照ください。

<作り方>

  1. 白神こだま酵母は、35℃くらいのぬるま湯小さじ1に浸して5分ほどおく。完熟トマトは皮をむいて(むきにくいようだったら丸1個のまま熱湯にさっとつけてからむく)、1cm角くらいにカットする。果汁もとっておく。
  2. 小麦粉に塩と砂糖を混ぜておく。【1】の酵母をあわせて、生地の様子を見ながらトマトを少し残して加え、生地がなじんだら耳たぶくらいの固さになるよう手のひらで温めながら捏ねていく。途中でオリーブオイル、オレガノを加え、生地が固かったら残りのトマトを、ベタつくほど柔らかすぎたら小麦粉少々を足す。
  3. 乾燥しないように大きめのボウルなどに入れて30℃前後に保温し、大きさが2.5倍、指でおして生地が戻ってこなくなるまで発酵させる。
  4. 生地のガスを抜くように軽く丸め15分ほど休ませる。3等分して丸く形を整えたら、とじ目を下にして天板に並べ、暖かいところで30分~1時間ほど発酵させる。
  5. 24japanese-season-tomato-bread-3

  6. 霧吹きで水をかけ、やや低めの温度170~180℃のオーブンで15~20分くらい焼く。

おわりに

24japanese-season-tomato-bread-4

トマトぱんの作り方はいかがだったでしょうか?完熟トマトがない場合はトマト缶で作ることもできます。チーズやハムなどをはさんで食べてもたいへん美味です。平たく伸ばしてチーズをのせて焼き、ピザ風に仕上げることもできます。完熟のトマトが手に入るこの季節にぜひお試しくださいね!